Skip to main content

「なにを学び、なぜ働くのか?」デンマークと日本の違い。

2023年7月、デンマークの高校で社会科を教えているヤコブ先生をお招きし、デンマークの文化、幸福、教育をテーマに特別授業をしてもらいました!

  • なぜデンマークは幸福度2位なの?
  • みんな政治に興味があるの?
  • 先生も生徒も平等ってホント?

などなど、気になる北欧デンマークの社会や価値観、学校のリアルを質問しながら、日本との違いやお互いの考えを深めていく、対話型ワークショップです。

今回の会場は、仙台市内にある、築100年近い古民家をリノベーションしたOFFICE cancasさん。窓ガラスや木製の扉を、デンマークまで買い付けに行ったこだわりの場所。オーナーのゆう子さんのご協力で実現しました。当日は、デンマークの「スモーブロー」を再現したオープンサンドイッチを作ってくださいました。

特別授業のテーマ

ヤコブ先生に話してもらった主なテーマは、次の2つです。

  1. 学生は、何を学ぶのか? 
  2. 人々は、なぜ働くのか? 

どちらも、答えはシンプル。デンマークと日本の社会的価値観の違いに気づくことができました。今回は、1つ目の「学生は、何を学ぶのか?」についてレポートします。

デンマークの学生は、何を学ぶのか?

デンマークでは、色んな見方があることを学ぶのが「教育」だそうです。

そのため、教育現場では、生徒に「これをやりなさい、あれをやりなさい」と、特定の方法は指示しません。自分で考えて、経験から学ぶことを重視しているからです。

例えば、リサーチプロジェクトの場合、何を学ぶのでしょうか?

ヤコブ先生は、生徒たちがリサーチを通じて、人によって考え方や見方は異なることを学べるように、声がけをしていくそうです。色んな見方があることの学びは、どのような成長に繋がるのでしょうか。デンマークの教育は、何を目指しているのでしょうか。

デンマークの教育現場で、大事にしていることは?

ヤコブ先生に聞いてみると、デンマークでは「社会性を育む」ことを大事にしている、とのこと。高校生であれば、自信を持って大学に行ったり、その先の社会で自信を持って活躍できることを目指しています。勉強面でも精神面でも「自立的でいること」を学ぶよ、と教えてくれました。

色んな見方があることを学ぶとは、「社会性を育む」こと。シンプルで、とても大切なことだと感じました。

これからは、日本の子どもたちに「学校で何を学ぶの?」と聞かれたら、「社会に出て、自信を持って活躍するための経験だよ」と伝えていきたいです。

ちなみに、日本語では「自分らしく」という表現がありますが、ヤコブ先生は「自信を持つ」という表現をしていました。ここにも、デンマークと日本の価値観の違いがあるのかもしれません。

「自立的でいること」とは?

ヤコブ先生の言葉をそのままお借りすると「Freedom with responsibility」です。生徒が自立性を育むためにとても大事なことだと語ってくれました。直訳すると「責任を伴う自由」となりますが、あまりピンときませんでした。一体、どういう意味なのでしょうか。そして、なぜこのことが、デンマークで社会性を育むために、重要なのでしょうか。

「責任を伴う自由」とは?

「Freedom with responsibility」つまり、責任を伴う自由とは、どういうことなのでしょうか?

極端に言えば、もし勉強したくなければ、それでもいい。その結果、進級できなかったり、卒業できなかったり、仕事に就けなかったりしても、「それは自分の責任」という感覚が根本にあるそうです。

もちろん、責任を取ればなんでも自由という意味ではありません。

「バイトがあったから宿題をやらなかったけど、先生いい?」と聞かれたら、「ぜんぜんいいじゃないよ〜!笑」と、ヤコブ先生は熱が入り、この一言だけ、日本語で説明してくれました。

生徒には、優先順位を付けることを教えるし、自分らしくいることと、社会に所属することのバランスを助ける役割が、先生にあるとのことでした。

必要なことをやらなかった場合は、その学生の責任。もちろん、何も指導をせずに落第させるわけではなくて、学生が能動的に参加するように、課題を出すとのこと。

例えば、宿題をしなかった生徒に対しては、「デンマークや世界の政治について、自分が興味のあるテーマでプレゼンテーションを作ってください。そして、学生同士でディスカッションできる質問を考えて、生徒同士で実施してください」といった課題を出したそうです。

この時、先生は、学生同士が行う様子を、外から見守る立場になります。常に、学生同士で実践することを重視しているから、と教えてくれました。

自由に行動し、結果を受け止める経験

デンマーク社会では「自分がやらないと、自分に返ってくることが明確。だから、自分たちの経験で学ぶんです」と聞いて、すごくシンプルで、大切な気づきを得ることができました。

教育現場だけでなく、その根底には、デンマーク社会が築いてきた「責任を伴う自由」という価値観があることを教わりました。

歴史の話が大好きなヤコブ先生。「自由」に関する価値観の背景をたっぷり説明してくださったので、また別のレポートに書き残したいと思います。

次回は、デンマークの人々は、なぜ、働くのか?について、レポートを更新予定です。

デンマークの教育と仕事について話を伺って、ますます行ってみたい国となりました!